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「気にするな。一般市民を救うのも俺達の役目だ。」 さいたまなRPGより出演。 さいたま市に勤務しているさいたま市隊の隊員で元マフィアのメンバー。 モラストルとは同じ職場仲間でもある。 刀を扱うことができ、特性により通常攻撃は先制攻撃可。 回避率も上昇している。 特技によって自身の攻撃力を強化することも出来るので、スピードアタッカーとして十分に活躍することが出来るキャラである。 ネームレス(相棒)、モラストルと共に愛生会をあぼーんする任務を受ける。 物事はハッキリ言うタイプで、怪しいと感じた事、文句、自分の気持ちなどもしっかり言う。 まっすぐな姿勢をした性格なのであろう。 原作では、ムンゾ城制圧任務に遅れてやって来る。(その時、城の大体半分ぐらい進んでいる) 残った敵相手に自分の実力をたっぷり見せてやる、と余裕気に言ってることから物事を少し気楽に考えている部分もあるのかもしれない。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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イギリス某所。 『ATTACK RIDE BLAST!』 マゼンダに黒と白のラインが入った奇抜な鎧と仮面をつけた男が、二人のシスターへと銃弾を放つ。 その銃弾は背の低い方のシスターの前に浮かんでいた袋に命中し、中身の金貨が辺りにばらまかれた。 「ひゃあ!?」 「シスター・アンジェレネ、下がりなさい!」 もう一人のシスターが木製の車輪を構えながら叫び、その直後車輪が爆発し破片が男へと襲いかかる。 迫る破片に対し男は動じず、持っていた銃身部分がノートのような形状の銃で一つ残らず打ち落とした。 「この程度か?」 「し、シスター・ルチア……」 「くっ……あなた、何者です!?」 ルチアの言葉に男は一瞬間を置き、勿体ぶるかのように答える。 「俺は世界の破壊者ディケイド……覚えておけ」 ◇ 仮面ライダーディケイド VS とある魔術の禁書目録 第一話「世界を破壊する者」 ◇ 学園都市。 東京都の三分の一もの面積を誇る巨大都市だ。 総人口は二三◯万、その八割は学生で占められていた。 記憶力、暗記術という名目で超能力研究、つまり脳の開発を行っている。 この都市にいる学生はそれらのカリキュラムによって普通の人は持たない「異能」の力を持っていて、その力の強さによってレベル0~5と区別されている。 学園都市第7学区に存在する地下街。 人々が行き来するその一角に、見慣れぬ写真館が立っていた。 つい昨日まで存在しなかったはずのその建物を誰かが気にする様子はない。 その「光写真館」の扉が開き、三人の男女が学園都市に現れた。 「ここはどんな世界なんだろうなぁ」 「さあな、ライダーの世界ではないと思うが……」 「そういえば士君、今回は服が変わってませんね」 門矢士、光夏海、小野寺ユウスケ。 この三人は消滅しようとする世界を救うため、いくつもの世界を巡っていた。 一つ前にいた世界でその使命を見事果たし、今は気ままな旅を続けている。 「けどどうしようか、もうこの世界で士がやるべきこと! とかって探す必要がないんだよな?」 「言われてみればそうですよね……」 「なら簡単だ、適当に観光でもすればいい」 士の言葉に二人は明るい表情を浮かべ、早速辺りを探索しに駆け出していく。 「……子供かあいつらは」 常盤大中学の制服を着た二人の少女が歩いていた。 一人は風紀委員【ジャッジメント】である白井黒子、もう一人は学園都市に七人しかいないレベル5の電撃使い【エレクトロマスター】"超電磁砲"の御坂美琴。 二人は買ったばかりの服が入った袋を持ち、寮への帰路についていた。 「お姉さま、またそんな子供っぽい服を……」 「う、うっさいわね、そこまであんたに言われる筋合いはないわよ」 談笑しながら歩くその背後、直前まで何の変哲もなかった空間が歪み、オーロラのような壁が現れその中から一つの影が飛び出し美琴達へと迫る。 影は辛うじて人の形をとっているものの不自然に歪み、左腕に至ってはカニのハサミのようになっている。 そのハサミのような左腕を振り上げ、美琴へと狙いをつけ―― 「黒子!」 次の瞬間、二人の姿が消えた。 獲物を見失った影……カニの怪人、シオマネキングは慌てた様子で消えた二人の姿を探す。 「どなたかは存じませんけど」 辺りを見渡すシオマネキングの背後、数瞬前までオーロラの壁が存在していたその場所から黒子の声が発せられる。 「私と、よりにもよってお姉様に襲いかかるなんて、命知らずもいいところですわね」 呆れたような声で喋る黒子に、シオマネキングの姿を見ての動揺は感じられない。 学園都市の能力者には自分の姿を隠したり、変えたりできる者もいる、目の前の異形の姿もその手の能力だと判断したのだ。 その横で美琴もパリパリと前髪から火花を散らして臨戦体勢に入っている、この都市の人間だったならば迷わず逃げる状況だろう。 だがシオマネキングはすぐさま美琴へ向けてカニに酷似した口から泡状の溶解液を発射した。それを軽く横へ飛んで回避し、 「危ない!」 「うわっ!?」 更に横から飛び出してきた青年に押し倒される。 側で黒子が恐ろしい形相になっているのに気づかないままその青年、ユウスケはシオマネキングを睨みつけながら美琴へと声をかける。 「大丈夫!?」 「えっと、あー……一応」 「よかった、士、こっちは大丈夫だ!」 完全に余計なお世話だったのだが、完全に善意の行為のようだし責めるのはあんまりだろう。 そのままユウスケが声をかけた方向に目を向けると、玩具のようにも見えるベルトを持った男が疲れたような顔で歩いてきていた。 「どうしてこの世界に怪人がいるんでしょう?」 「シオマネキング……スーパーショッカーの残党ってところか」 そのベルト、ディケイドライバーを見て黒子と美琴が表情を変えるがユウスケは気づかない。 士はディケイドライバーを装着し、一枚のカードを取り出した。 「どうやらこの世界でも、俺のやるべきこととやらは存在するらしい……変身!」 『KAMEN RIDE DECADE!』 カードをバックルに入れながら叫び、それと同時に士の全身を鎧が覆う。 マゼンダに黒と白のラインが入った奇抜なデザイン、緑色の目は昆虫の複眼を模したものか。 更に七枚の黒い板が現れ、仮面へと突き刺さり七本の黒いラインと変化する。 ディケイド、門矢士の変身する仮面ライダーである。 「ユウスケ、その二人を任せた、夏みかん、他に人が来ないよう見張っておけ!」 鍔の部分がノートのような形状の剣、ライドブッカーを取り出しシオマネキングへと斬りかかる。 シオマネキングも左手のハサミと溶解液で対抗するが、どちらが優勢かはすぐにその場の全員が理解できた。 「よし、ここは士に任せて君たちは早く離れて!」 ユウスケが二人の手を掴んでその場を離れようとするが動こうとしない。 「何してるんだ、二人とも早く!」 「黒子、あれって……」 「ええ、間違いないようですわ」 二人の視線はディケイドとなった士に固定されている。 ユウスケは一瞬顔を顰め、もう一度避難を促そうと口を開く。 ――直後、ユウスケの体は地面に倒されていた。痛みも衝撃もなく、いつの間に、誰に倒されたのか理解ができない。 「動かないでいたただけます?」 「なに、を――」 状況が分からないままとにかく立ち上がろうとするが、ドカドカドカッ!と電動ミシンのような音と共にその動きが封じられる。 慌てて体の様子を見るが、金属矢が服と地面を縫いつけていて動けそうにない。 「ですから、動くなと申しておりますの」 その言葉で、自分が助けようとした少女が何かをしたのだと理解する。 だがいったい何をしたのかが掴めない、ユウスケも士と同じ仮面ライダーとして戦い続けてきた戦士だ、直接倒されて気づかないわけがない。 黒子達はユウスケの方を振り向こうともしない、黒子の能力、レベル4の空間転移【テレポート】を利用した攻撃についてわざわざ説明する気などなかった。 『FAINAL ATTACK RIDE DEDEDECADE!』 ディケイドが再びバックルにカードを差し込むと同時に電子音が鳴り響く。 直後、ディケイドとシオマネキングの間に10枚のカードのようなエネルギーの壁が現れ空中へと浮かび上がる。 そのカードめがけてディケイドが飛び蹴りを放ち、次々とカードのエネルギーを吸収していきそのままシオマネキングの体へと直撃させた。 シオマネキングの体が吹き飛び、地面に倒れ伏したまましぶとくもがくが、爆発し跡形もなくなってしまう。 戦いが終わり、ディケイドライバーへと手をかけるが地面に縫いつけられているユウスケの姿を見てその手を止める。 「……どういうつもりだ?」 「それはご自身の胸に聞いた方が宜しいのでは?」 士の問いかけに挑発するように黒子は返す。 背後の美琴による「手伝おうかー?」という言葉は「これはジャッジメントの仕事ですの」と一蹴している。 「ジャッジメント? その年で裁判官か?」 「あらあら、ジャッジメントがわからないとは、外からの侵入者にしてももう少し勉強してきたらどうですの? 世界の破壊者さん」 「……またそれか」 ◇ 「指名手配犯……?」 ツンツン頭の青年、上条当麻は配られたプリントを見て眉を顰めた。 ペラペラなA4サイズの用紙には思わずコメントを避けたくなるセンスの仮面が印刷され、その上には「この顔にピンと来たら警備員【アンチスキル】へ!」などとデカイフォントで書かれている。 更に玩具のようなデザインのベルトやら、大雑把な身体的特徴が小さく書かれているがむしろこちらを大きくすべきなのでは、と上条は思う。 (何やった奴か知らねーけど、こんな目立つ仮面すぐ外してるだろうに) こんなインパクトのある仮面の写真を出されては、対して興味のない人間はそれ以外の情報などすぐに忘れてしまう、上条自身もその例に漏れずさっさとプリントをしまおうと動く。 「今渡したプリント、よく見てくださーい」 「へ?」 その動きを抑制する声に教壇の方へと目を向ければ、見た目12歳な酒好きヘビースモーカー女教師、月詠子萌がプリントをひらひらと振り回して声をあげている。 仮面以外に何か注目すべきところがあったのか、と上条は渋々しまいかけのプリントを机の上に戻して視線を落とした。 「えっとですねー、実は先生も詳しいことは聞いてないのですけど、アンチスキルの人が言うにはレベル5にも相当する強い力を持っているので、間違っても自分で取り押さえてやろう、等と考えないようにとのことですー」 子萌の言葉に教室がざわつく。 レベル5とと言えば一人で軍隊とも戦える、とまで評される学園都市に七人しかいない能力者だ。 上条もその内二人と出会ったことがあるがどちらも反則のような力を自在に操っていた、レベル0の上条からしてみれば別の世界の住人だ。 と、そこで先程の言い回しに違和感を覚える。 (レベル5『相当』……?) 能力者が相手だとしたらこのような言い回しはしないだろう。 だとすると考えられるのは学園都市の武器で武装した無能力集団【スキルアウト】か大人か……それも不自然に思える、銃器などを指して能力者のレベルで例えることなどないからだ。 (だとすると……魔術師か!?) 上条の背筋を冷たいものが走る。 星覇祭の最中に学園都市を支配下に置こうとした魔術師と激戦を繰り広げたことはまだ記憶に新しい。 無意識に拳を握るが、直後自分の机に丸めたメモ用紙が投げ込まれることで我に返る。 誰だ? と思いながら紙を開くと「後で話がある」という短い文だけが書かれていた。 周囲を見渡すと、金髪サングラスと目立つ格好で話を聞くふりをしている土御門元春がサングラスの下からじっとこちらに視線を送っているの気づき、頷いて答える。 (土御門が関係してるってことはやっぱ魔術師か! くそ、狙いはなんだ……インデックスは大丈夫だろうな!?) 「結論から言うと、相手は魔術師じゃないぜよ」 「…………は?」 放課後、上条は土御門に先導される形でいつもの寮への帰宅ルートからは外れた道を歩いていた。 裏路地のようなすぐに思いつく「人のいない場所」ではない、それなりに店などもあるのだが人通りのない、人気の無いスポットというやつだ。 そこでの土御門の第一声に、上条は思わず間抜けな声をあげてしまう。 「じゃ、じゃあ能力者なのか……」 「いーや、それも違う。どうやらこいつは魔術サイドでも科学サイドでもない、完全な第三勢力らしい」 「第三勢力……?」 その言葉で上条が思い出したのは、以前学園都市の人間になりすまし美琴に近づこうとしていた魔術師から聞いた話だ。 彼は上条を中心とした科学サイドと魔術サイド両方の人間による強固な人間関係を新たな「上条勢力」と呼び、二つの勢力のバランスを崩すのではないかと危惧していた。 この手配犯はそういった今保たれているバランスを崩そうと動いているのだろうか。 「詳しい目的や正体は掴めてない、ただこいつが魔術師に攻撃を加え、今学園都市にも刃を向けていることは事実だ」 「……? でも待ってくれよ、魔術師でも能力者でもない奴がそんなことできるのか?」 「現に行われてるんだからそこはできるもんだと思ってもらうしかないにゃー、問題なのは、こいつが魔術師と敵対しながら学園都市にいるってところだ。こいつは自分たちの敵なんだからこっちも黙っていられない、 なんて理由をつけて好き勝手学園都市をうろつかれちゃたまったもんじゃないぜい」 確かに敵を探す、という名目で学園都市の機密を探り出そうとする者は出てくるだろう、監視の目はあちこちにあるものの、今まで幾度となく学園都市内部に侵入してきた魔術師達を知っている上条としてはほとんど気休め程度なものである。 「一応今は実際に襲撃を受けた必要悪の教会【ネセサリウス】が人材を派遣するってことで抑えがついてるが……時間の問題だ」 「早いとここっちで捕まえないとまずいってことか」 「ま、それは実際アンチスキルやジャッジメントの仕事なんだけどな、カミやんは禁書目録を守ってほしい」 突然出てきた名前に上条の表情が険しくなる。 「インデックスが狙われてるのか!?」 「わからない、だが相手は『世界の破壊者』を名乗っている……禁書目録の十万三千冊の魔道書を利用する可能性もあるってところだ」 「世界の破壊……!?」 「ああ、こいつの名前は世界の破壊者ディケイド、最も自分で名乗ってるだけで本名かどうかはわからないがな」 ◇ 黒子は士から一定の距離を保ちながら、そっとふとももに巻かれているベルトにセットしている金属矢に触れる。 彼女のテレポートは強力な力だが、その制約も多い。 3次元から11次元への特殊な移動は複雑な式で計算しなくてはならず他の能力より脳への負荷が大きい、そのため痛みや動揺などで集中が切れてしまえば使用不能となる。 更に現状で最も厄介なのは対象物に触れなくてはならないということだ、極端な話テレポートで士を飛ばせれば床や壁に埋め込んでしまうことも可能だが、それにはまず直接触らなくてはならない。 だが先程の戦いを見る限りそれは容易なことではないだろう、一撃でもくらえば致命傷になりかねない。 「おい、誰に吹き込まれたかは知らないが、俺はもう破壊者なんかじゃ」 「犯罪者の言う事を聞く趣味はありませんの、大人しく捕まってくれるのでしたら弁護士がいくらでも聞いてくれますわよ」 「このガキ……ちょっと躾が必要なようだな?」 流石に少女に斬りかかるのは気が引けたか、ライドブッカーをしまい黒子へと駆け出す。 士の間合いに入る直前にテレポートを発動、士の真後ろに現れる。 「なっ……!?」 「相手を見た目で判断する、そういうのは死亡フラグですわよ?」 言いながら士へ手を伸ばそうとし、再びテレポートで間合いを離す。 直後黒子がいた空間を士の拳が通りぬけ、やはり直接触れるのは難しいと判断する。 「なんだ、クロックアップ、じゃないな……」 「降参する気になりました?」 「この、人が手加減してれば調子に乗りやがって……ぐあっ!」 ライドブッカーに手を伸ばした右手に金属矢が突き刺さる。 転移先の物体を押しのけて移動させるテレポートには、ライダーの装甲さえも意味をなさない。 士は右手を抑えながらその場に蹲ってしまう。 「まったく、気は済みましたの?」 「……いいや、これからだ」 「っ!?」 蹲り黒子の視界から隠していた左手に二枚のカードが握られていた。 黒子が再び金属矢に触れるよりも早く、一枚のカードをバックルに入れる。 『KAMEN RIDE KABUTO!』 電子音と共に士の纏っていた装甲が姿を変化させる。 青い複眼、緋色の装甲、そしてカブト虫を模した赤い角が目をひきつける。 カブト、天の道を往き、総てを司る男が変身する仮面ライダーだ。 「姿が変わった……?」 「黒子!」 何か攻撃が来ると思っていた黒子は予想外の出来事に思考を巡らせるが、美琴の声に我に返る。 起死回生の一手を打とうとしている相手に受身になるなど悪手以外のなにものでもない、だが黒子が行動に移る前にすでに士は二枚目のカードをバックルに差し込んでいた。 『ATTACK RIDE CLOCKUP!』 瞬間、世界が止まる。 慌てて金属矢に触れた黒子も、そのフォローをしようと駆け出した美琴も、拘束を外そうともがき続けていたユウスケも、全員が不自然な体勢のまま動きが止まっていた。 全てが静止した世界でただ一人、士だけが平然と動き右手に刺さっていた金属矢を引き抜き放り捨てる。 金属矢は地面へ落ちるが、その穂先から流れ落ちた血は空中で不自然に留まったままだ。 クロックアップ……カブトの持つ周囲の時間の流れを何倍も遅くする力である。 「まったく、厄介な世界に来たな……」 愚痴りながら黒子の背後へと周り、その首に軽く手刀を降ろす。 『Clock over』 再び電子音が鳴り、それと同時に時間の流れが元に戻り黒子は気を失いその場に倒れ伏す。 「なっ!?」 倒れた黒子と士を交互に見ながら美琴は驚愕に満ちた声を上げる。 彼女からしてみれば一瞬で士が黒子の背後に移動したようにしか見えないのだ、士もテレポートの能力を持っているという可能性が頭をかすめるがそれなら今まで使わなかった理由がわからない。 警戒を強める美琴に対して、士は疲れた視線を向けた。 「やめとけ、子供を虐める趣味はない」 その言葉に美琴の目つきが鋭くなる。 七人しかいないレベル5の第三位、そのプライドを逆撫でするには十分すぎる言葉だった。 「世界の破壊者だなんて名乗って、人の後輩傷つけて、それでそんなセリフよく言えたわね」 「お、おい待て! 世界の破壊者を名乗った覚えはないし、先に手を出したのはそっちだろう!」 「今更トボけたこと言ってんじゃないわよ!」 前髪から火花を散らし、叫びながら士へと雷撃を放つ。 側の黒子を巻き込むことを恐れたか狙いは甘い、なんとか回避に成功するが士は仮面の下で表情を歪める。 「今度は雷……なんなんだこの世界は」 ぼやきつつも新たなカードを取り出す。 クロックアップは時間を止めるわけではない、元々の速度が光速に近い雷が相手では回避しきれる保証はない。 雷に対抗するには―― 「こっちも雷だ!」 『KAMEN RIDE STRONGER!』 士の姿が再び変化する。 カブト虫を模した角に赤い装甲、それは先程のカブトと似ているともいえる。 そんな中、風になびく白いスカーフと装甲の胸に刻まれたSの文字、更に先程はスマートな印象だったフォルムからは力強さを感じるようにはっきりと変化していた。 ストロンガー、電気の力を扱い友人の仇を討とうと戦う熱き男が変身する仮面ライダーだ。 「また変わった!?」 「少し大人しくしてもらうぞ!」 『ATTACK RIDE ELECTROFIRE!』 電子音と共に地面へと拳を叩きつける。 拳を通じて放出された電流が地面を伝い、美琴へと襲いかかった。 (電気!? こいつの能力は――!) しかしレベル5のエレクトロマスターは伊達ではない、自分の電撃をぶつけて無理矢理に軌道を曲げる。 「そうか、あんたの能力は模倣【コピー】……!」 「はぁ?」 黒子との戦いでは空間転移、自分との戦いでは電気を操る士の力を美琴の常識で当てはめて思い浮かぶのはそれだけだ。 自分だけの現実【パーソナルリアリティ】による能力は通常一人一つしか持つことはできない、仮に美琴が黒子に空間転移の理屈を説明されたところで空間転移の能力が発現したりすることはない。 だがもしもパーソナルリアリティを読み取り理解する力があったらどうか? 相手の力を理解し真似ることができるのではないだろうか。 「上等、どこまで真似できるか見てやろうじゃない!」 瞬間、美琴の前髪から雷撃の槍が生み出される。 それは自然界で生み出される雷とほぼ同等の紫電で作られた、青白い光の槍。 その迫力に士もたじろぎ、焦りをのぞかせながら更なるカードを引き抜く。 「『あいつ』に撃った時よりは手加減するわ、私の力をコピーしてるってんなら、死にはしないはずよ」 『FORM』 「いけぇ!」 『RIDE―― 光の槍が放たれる。空気中の酸素を分解しオゾンへと組み換えながら突き進み、一瞬にして士の目の前へとたどり着き轟音を撒き散らし直撃する。 「……ちょ、ちょっと?」 それは美琴にとって完全に予想外の出来事であった。 彼女の考えていたようにレベル5のエレクトロマスターをコピーしているならば、いや、そうでなくとも先程のように電気を操る力を持っているなら直撃を避けることができたはずだ。 そう、今の一撃はかわされるのを前提で打ち込んだのだ、それだけの威力を持っている……直撃すれば、命の危険があるレベルの攻撃。 美琴の手の平にじっとりと嫌な汗が浮かんでくる、殺してしまったのだろうか? そう考えると自然と体が震えだす。 御坂美琴は人の死を平然と受け入れられる人間ではない、自分のせいで誰かが死ぬのであれば、自分の命を投げ出してでもその相手を守ろうとする人格者だ。 たとえ犯罪者であろうとも殺してしまって「やりすぎちゃった」で済ませられはしない。 「う、そ……」 「そう思うなら、初めっから撃つな」 「――っ!?」 ――CHARGEUP!』 雷撃の影響で舞っていた土煙が収まり、その中から平然と士が現れる。 その姿に先程と変化はない、胸の装甲に銀色のラインが入り、額の角も同じ色に染まっているが――ダメージはない。 「なんで……?」 無事だったことに安堵し、それ以上に恐怖を抱く。 先程の攻撃が直撃した、それは間違いない。だというのにダメージがないということは例え自分の力を利用したところでありえないはずだ。 「確かに凄い雷だったが、超電子の力には適わなかったようだな」 「超、電子……」 通常の電気技が通じない敵と戦うため編み出されたストロンガーの力、超電子。 その力はそれまでのストロンガーを遥かに上回り、幾度とないピンチを救ってきた。 未知の力に美琴は数歩後ろへ下がる、エレクトロマスターの彼女でも超電子などという物は聞いたことがない。 士の能力はコピーなどではないのだ、レベル5の自分をも上回る電撃使い……そう考えた瞬間、美琴はポケットから一枚のメダルを取り出し士へと向ける。 「おい、いい加減にしろよ」 「っ……!」 超電磁砲。 彼女の二つ名ともなっているこの技は美琴の切り札と言ってもいい。 直接の雷撃が効かなくとも、超高速の弾丸を受ければ無事では済まないだろう。 ……だが、その絶対的な威力こそが美琴を縛る。 直撃させては今度こそ殺してしまうかもしれない、美琴はこの超電磁砲をある一人を除いて人に向けて放ったことがないのだ。 このままでは負ける、だからといって切り札を切ってしまえば殺してしまうかもしれない、美琴の思考が限界に近づき、士も美琴が暴走しかねない状況であることに気づき迂闊な動きを取れない。 と、硬直状態に入りかけた二人の間を青い影が走り、次の瞬間には美琴の手にあったメダルが消えていた。 「え?」 「この場面で出すからには何かお宝かと思ったけど……どうやら大したものじゃなさそうだね」 「海東! お前今までどこに行ってたんだ!」 メダルをしげしげと眺める青い仮面の男、海東へ士が問い詰める。 ディエンド、士と同じように世界を渡る仮面ライダーだ、その姿は基点の色が青であることを除くとディケイドによく似ている。 「なにをする気かはわからないけど、何か切り札を使うつもりだったんだろう? 感謝したまえよ士」 「お前は……いつになっても相変わらずだな」 「仲間? そんな……」 親しいのか険悪なのかわからない会話をする二人を見て、美琴は表情を曇らせる。 士一人に苦労しているというのにもう一人など相手にできない、それに黒子が最初に拘束した青年まで加わってしまえば勝ちの目はほとんど消えるだろう。 思わず後ずさろうとするが、背中に人気配が現れ動きが止まる。 (うそっ、いつの間に後ろに――) 「黒子!?」 「お姉さま、一端退却しますわ!」 いつの間にか意識を取り戻していた黒子が美琴を連れてテレポートでその場から消え去る。 士と海東は辺りを見渡すがどこにも二人の姿は見つからない。 「残念、逃げられてしまったようだね」 「たくっ、いったい何だったんだ」 ディケイドライバーを外し、元の姿へと戻る。隣で海東も変身を解いて青年の姿になっていた。 「そうそう士、こんなものを見つけてきたんだ」 「何だ? ……指名手配、か、どっかの世界で似たようなことがあった気がするな」 「まったくだね、でもここはライダーとは関係ない世界だ……どういうことかわかるかい」 「ああ、嫌ってほどにな」 疲れ果てた表情で天を仰ぐ。 地下街を覆う天井を見ながら、士はその名を呟いた。 「鳴滝……」 第一話 END NEXT STORY「お宝、禁書目録」
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「総員、突撃せよ! 目標は名も無き王国の首都なり!」 「嫉妬」を司るマリス。 七つの大罪のマリスの一体であり、名も無き王国にて大耳ネームレス?が変異した。まるでそびえ立つクソ。 傲慢のマリスによる大空襲に呼応し、水泳部を率いて橋の外から名も無き王国を襲撃。 名も無き王様の采配ミス(防空壕に兵員をまともに配置しなかった)に乗じて、多数の避難民が潜む防空壕の水路から侵入した水泳部メンバーは多大な犠牲者を出した。 この水泳部の戦果は名も無き王様が枯渇のマリスへと変異するきっかけとなる。 嫉妬のマリス自身は橋の対岸に陣取り、戦闘形態マリス磯野家として実体化し主人公達を迎え撃つが敗北、その後実体化を解いて無敵になったつもりになるがそれでもエンドオブマターやエンドオブソウルを食らって敗北、結局は主人公に吸収され消滅する。 ネームレス時代はチーム?メイト?から無能リーダー呼ばわりされるほどのまさしく弱小であったが、マリスになってからは結局すぐ倒されたとはいえ間接的に色情のマリス誕生のきっかけを作るなど活躍したといえる。 敗れはしたものの傲慢のマリスともども破滅のマリス誕生への地固めをした功績は「七つの大罪」の名に恥じないものといえよう。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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□ 薄暗い研究所のような場所で黒い高級スーツに身を包み、右眼を眼帯に隠した男が歩いていた。 弟切ソウが目当てのドアの前で足を止める。 ドアに備え付けられた電子パネルから声が聞こえた。 『弟切さん? 準備なら出来ていますからどうぞ、お入りください』 「わかった」 弟切は短く答えて、パネルを操作してドアを開く。 薄暗い室内の中の淡い光りに弟切は眉をしかめた。サイバーエルフがカプセルに保存されている。 大きなモニターはこの研究所のメインコンピューターとつながっていた。 弟切の左眼に揺れる金のポニーテールが映る。赤いジャケットの上に白衣をはおった見た目だけなら二十代前の女性が、弟切へと近寄ってくる。 綺麗というよりは可愛らしいと記憶していた顔には白いのっぺりとした仮面が覆っている。 細身の身体を弟切に向けて対面してきた。 「ライブメタルはどうなった? ドクターCL」 「モデルH以外は意識を封じ込めたまま力を引き出すことに成功したわ。ゼクターと一緒よ」 「再調整のためには意識を戻さないといけない……面倒だ」 「それもこれで最後。きてみる?」 ドクターCLは立ち上がって隣の部屋へと誘った。弟切は頷いてあとをついていく。 ドアをくぐるとカプセルの中でエネルギーを送られている緑のライブメタルがいた。 『キサマら……パンドラたちの仲間か!?』 モデルHが怒りに任せたまま叫ぶ。弟切はニヤリと笑うが、モデルHの抵抗が激しくなった。 カプセルがピシリ、とヒビが入って弟切が尋ねる。 「おい、本当に大丈夫なのか?」 「問題はないわ。それに……」 ドクターCLはあっさりと弟切に告げてモデルHへと歩み寄る。 モデルHへ向けて仮面を外し、笑みを浮かべて優しく話しかけた。 「モデルH、アナタたちの力を私に貸してくれないかしら?」 『……ッ!? あなたは……そんなバカな!?』 ドクターCLはフフ、と笑みを浮かべる。驚愕に満ちて隙ができたモデルHへとエネルギーが送られていった。 モデルHから悲鳴が上がり、ドクターCLは仮面を再びかぶる。 鈴を転がすかのような美声でドクターCLはつぶやいた。 「たとえ影でもアナタたちは私に力を貸すことになる。なぜなら、かつて影に仕えたのはアナタたち自身なのよ?」 歌うように紡がれる言葉。 含むような笑いとモデルHの悲鳴が暗い室内に響いた。 □ うっすらとペンテが目を開くと、木目調の天井が視界に入った。 身体にかかるシーツが上半身をあげると同時に剥がれた。素肌に巻かれた包帯を触り、手当てを終えていることを知る。 じくり、と傷口が痛む。周囲を見回すとどうやら民家のようだ。 木の家というアンティーク調に仕立てられた周囲を見回し、回想する。 崖から落下して地面に叩きつけられてながらも、倒れるまで全速力で逃げたのだと思い出した。 血の跡を誤魔化した覚えはあるが、どこで意識を失ったかはわからない。 モデルVAはどこにある? とペンテは思考して首を回した。 とたん、ドアが開いてペンテは視線を向け直す。そこには見知らぬ女性が一人立っていた。 「目を覚ましたんだ? よかったぁ……」 若い声だ。外見はペンテと歳の差はないように見える。 柔らかい栗色の髪が腰まで届いている。童顔で大きな瞳には安堵の色が浮かんでいた。 首まで隠す柔らかい布地の白いセーターに淡い桃色のプリーツスカート。 黒いタイツがスラッとした足を包んでいる。可愛らしいデザインの手袋を脱ぎながらペンテに歩み寄ってきた。 「アタシはリーネ。お兄さんは?」 「…………ペンテだ。礼を言うが、俺の荷物はどこだ?」 「せっかちね。そんなに大事なものが入っていた?」 そういってリーネは籠に入ったペンテの荷物を渡してくる。 目的のライブメタルも紛失していない。確認を終えながらも、手にとったモデルVAが不機嫌なのを感じ取った。 まあいいか、と脇に籠を置いてリーネに向く。ペンテが現状確認をする前にリーネが話しかけてきた。 「ねぇ、ペンテさんお腹すいていない?」 ペンテが「ああ」と頷くと同時に嬉しそうに隣の部屋へと移動する。 もっともすぐに戻ってきたが。持っていたトレイにはスープとパンが乗っていた。 「アタシの特製よ。後で味の感想を聞かせてね!」 そういってリーネが押し付けた料理をペンテは受け取った。 体力を回復するため食事は必要だ。リーネはおしゃべりらしく食事中にも話しかける。 適当にあしらい、モデルVAの苛立が増していっているのを感じた。 あれは他者とのコミュニケーションを破壊以外でとることがない。会話を続けるという行為を嫌悪している節すらあった。 とはいえ、ペンテは他者との会話は苦痛ではない。 (フィオもお喋りだったしな) 自分をこんな目に遭わせた敵との思い出を浮かべて、ペンテは心の中だけでつぶやいた。 『ハンター時代の先輩だった?』 「と、いうよりは先生だな。俺に生きる術をすべて教えていた」 モデルVAへとコールドエンプレスとの関係を問われ、ペンテはあっさりと答える。 もっとも特に隠し立てするような内容ではない。今まで話さなかったのはモデルVAがペンテの過去に興味を持っていなかったからだ。 モデルVAとしてはロックマン以外に傷つけられてコケにされたことが気にくわないのだろう。 ペンテが不甲斐ない、とすら考えている節がある。常に飢えているペンテと、それを諌めるモデルVAの立場が逆になっていた。 それほどモデルXたちに拘っているということだ。 『ところでだ、ペンテ』 「なんだ?」 『キサマ、いつまでこうしているつもりだ?』 モデルVAが指摘すると、ペンテは右手に下げた買い物袋を持ったまま肩をすくめて「さあな」と答える。 いつもの紫色の毒々しいジャケットではない。雪の降る商店街で街灯に背をあずけるペンテは青いセーターを着けていた。 今は世話になっているリーネの死んだ父親ものらしい。彼女曰く、もともとのジャケットより似合っているとのことだ。 雪原エリアに接しているだけあって、街一面銀世界。 ペンテが顔をあげると、街で保管されている旧化石燃料所が視界に入る。大きな施設だが可動はしていない。 別のエネルギーが開発され、捨てるわけにもいかず昔から放置されていたらしい。 この街を案内した時のリーネの言葉だ。 「ペンテさん、待った?」 店から出てきたリーネが尋ねるが、ペンテは首を横に振る。 待つことは慣れていた。数分寒空の中立つことは苦痛ではない。 馴れ馴れしくひっつくリーネにも億劫だが、拒否することもなかった。 これがモデルVAがいらついている理由であることは充分にわかっていたが、互いに互いのことを想いやるような関係ではない。 イザというときだけ力を貸し合う。モデルVAとはドライな関係だと思うが、このくらいが丁度いい。 リーネが荷物を持って前をいくのをペンテはついていく。 ケガの治り具合は順調といったところか、と内心つぶやいた。 ペンテがリーネの手当を受けて一週間経つ。 もともと生命力の高いペンテは二日で動けるようになった。 その間なにをしていたかというと、ペンテにいわせればなにもしない。 「おう、新入り。リーネも一緒に買物か?」 「トーマスおじさん。そうよ」 大柄でガテン系の男の野太い声がペンテの耳に届き、リーネが返した。 ペンテは軽く挨拶をして男へ向く。世話になっている間、目の前の男の仕事に加わったこともある。 ゆえにペンテは『新入り』と呼ばれているわけだ。ちなみにリーネは昼はウェイトレスとして暮らしている。 独り身なのに自分のようなものを担ぎ込むとは無防備だと呆れたものだが、彼女の父親が目の前のたくましい男と友人だったらしい。 手を出せばどうなるかは考えなくてもわかる。遺跡の発掘作業を請け負っているトーマスは現場監督のようなものか、とペンテは把握した。 「しっかし、リーネと一緒に暮らしているのに手を出さないとはな。まあ、色気は足りないのはわかるがな!」 「ちょっと、おじさん!」 ガッハッハ、と大口開けてトーマスはペンテの背を叩いた。どういうわけかペンテは彼に気に入られている。 黙々と仕事をこなすのがよかったのだろうか。よくわからない。 仕事を通してこの街に知り合いが増えた。モデルVAはそのことが気に入らないようだが。 「そういえば新入り。お前さんを探しているって奴がいたぞ」 ペンテは首を傾げる。とはいえ、相手は想像ついていた。 「どこにいましたか?」 我ながら陰気な声だ、とペンテは感想を抱きつつもトーマスに尋ねる。 リーネを家へ送ってから向かおう、と思考してトーマスと別れた。 星がまたたき、月が淡く光って地面を照らす。 雪が積もり、白くなった木々が少しだけ光を反射していた。 雪景色は美しいものだ、とフィオは感想を抱く。 やがて雪を踏みしめる一定のリズムの音が聞こえてきた。来たか。フィオは笑みを浮かべて振り向いた。 「やっぱり一人ね」 「フン。こいつもいるさ」 そういってペンテがライブメタルを見せたが、フィオは笑う。 相変わらずの様子にいくらか安堵した。 「……覚えているかい? アタシたちが離れた日のことを」 「唐突だな」 ペンテが答えてフィオは当時を思い返す。 あの日は珍しくフィオがドジって敵に捕まってしまった。 ペンテは人質をとられた形となったが、フィオは心配していなかった。 自分ごと殺す。そういう男だと知っていた。なのに、ペンテは撃たなかった。 「あの日なんでアタイごと撃たなかったんだい?」 フィオが尋ねてもペンテは沈黙を返す。そう簡単に本心を明かす男ではない。 特別な感情を抱いてもらっていると期待していいのか、などとは聞かない。今は敵だ。 『いいかげんにしろ、キサマ。用件をいえ』 モデルVAがイライラした様子で忠告する。今にも暴れかねない。 ヤレヤレ、とフィオは肩をすくめて本題に入った。 「最後の忠告だよ、ペンテ。ライブメタルをアタシに渡しな。そうすればあんたに干渉しないように取り計らう」 『ふざけるな。すぐに鉄くずに変えてやる。ペンテ、準備しろ』 「あんたには聞いていないよ、モデルVA。これはアタイとペンテの問題さ」 そういってフィオはペンテを見るが、来たときと変わらず黙っていた。 フィオとてすぐに片付くとは思っていない。これは自分の未練といってもいい。 殺し合いを一度、交わしたとはいえだ。 「三日だけ待つよ。三日後のこの時間にもう一度答えを聞く。ペンテ、またね」 フィオはそういってあっさりと踵を返した。 ロックオンされればすぐに殺されるような真似だ。 しかし、ペンテは動かない。森の闇に消え、フィオはやがて消える足音だけを残した。 ペンテは消えていったフィオの後ろ姿を見届け、微動だにしない。 モデルVAの刺すような殺気を受け流し少しだけ昔を思い出した。 イレギュラーに襲われ、孤児となったペンテを引き取ったのは彼女だった。 当時のフィオは若いながらも、周囲に一目置かれている違法ハンターの一人だ。 ペンテの前を歩き、圧倒的な力を見せつけた彼女に憧れていた時期もあったと回想した。 今はどうか知らない。ただ、モデルVAがイラつく事実、人質となった彼女を撃てなかったのは本当だ。 ペンテは少しだけ微笑む。自分がとる手は決まっている。 しばらくは雪を踏む自分の足音だけが耳に入った。 □ 風が吹いてエールは思わず身体を抱きしめた。 モデルXがエールの心配をするが、エールは問題ないと応えた。 エリファスと会ってよかったと思っている。後ろを振り返るのはここまでにしたい。 転送装置まで歩く道のりの中、エールは思考を切り替えた。 ガーディアンの研究所からライブメタルが盗まれた。 ワームの首領ですら囮に使った作戦に驚き、悔しく思う。 自分がめげてさえいなければと考えたのは一度や二度ではない。 だけど、エールの瞳は前を向いている。もう二度と後悔はしない。 (待ってて、モデルHたち。アタシが絶対助ける!) エールは内心そう決意して一歩踏み出す。 すべてを守るロックマンになる。その想いに微塵も偽りはないのだから。 □ リーネが用意した夕食を平らげ、時計をみてペンテは席を立った。 あれから三日経ち、約束の時間が来たのだ。ペンテは隣の部屋で黒いインナーに紫のジャケットと、いつもの服装へと着替える。 モデルVAはいまだ不機嫌だが問題ない。頑丈なブーツをはき外へ出る。 「ペンテさん、いくの?」 後ろでリーネが声をかけてきた。バレないようにするつもりだったが、予想外に勘がいいらしい。 首だけ動かして顔を見ると不安そうにしていた。 本当にフィオといい女とは面倒だとペンテは感想を持つ。 「アタシ……少し不安で……」 ペンテは自分になにを期待しているんだろうか、と呆れた。 ペンテは普通とは違う。モデルVAのように日常を送るのに支障が出るほどではないが、それでも穏やかな日々では生きていられない存在だ。 モデルVAが自分のそうした特性に疑いを持っているのは笑えるのだが、ペンテは自分の異常性を痛いほど自覚している。 だから彼女が期待するように、「必ず戻る」とも「一人にはしない」とも告げない。 「今日はずっと家に入っていろ」 なぜなら、これは別れの言葉だから。 ペンテは彼女に特別な感情を持ちはしない。一人で強くある。 それこそがペンテを支える信念であったからだ。 風が強く雪が舞う。吹雪が近いのか、とペンテは感想を抱いたがもうどうでもいい。 三日目の約束の場所へたどり着き、ペンテは現れた女性とわかるシルエットに近づいた。 肩で切りそろえられたショートボブのキツメの美人。 かつてペンテが「フィオ」と呼び、生きる術を授かった存在。 「答えは出たかい?」 フィオの声に僅かに期待の色が混ざっていることにペンテは嘆息した。 答えなどわかっているはずなのに、僅かな可能性に縋っている。 教え教えられる関係など戻れはしない。ペンテは静かにライブメタルを取り出して構えた。 「……そうかい」 僅かに落胆した声にペンテは眉を上げる。それ以外の答えなどありはしないのに、と。 ペンテの口が動いたのと、フィオの全身がうごめいたのは同時だった。 「ロックオン」 あがる戦いのゴング。二人の激突に、雪が積もった木々が揺れた。 カミナリが落ちたような轟音が周囲に轟く。 紫色の装甲を纏ったロックマンVAVAと、漆黒の鋭利な装甲を持つコールドエンプレスの拳が激突した音だった。 ギシギシと音が鳴り、数秒の間拳が拮抗する。先にコールドエンプレスが舌打ちをしてロックマンVAVAに力負けをした。 吹き飛び、地面を滑るコールドエンプレスを見届けてロックマンVAVAは踵を返す。 『どういうつもりだ、ペンテ?』 「今は黙っていろ」 そうつぶやいて後ろから襲う氷の散弾を右手のバルカンで迎撃する。 逃げきるほど全力の速度は出さず、追いかけることが可能の速度を保つ。 引きつけているとはわかるほどわざとらしくロックマンVAVAは駆けた。 『キサマ……』 モデルVAが不機嫌になる。それもそうだ。ロックマンVAVAは今、街から離れるコースを取っているのだ。 コールドエンプレスが突進してきて、その刺突を捌いた。 「妬けるねぇ。あの街に未練があるのかい?」 コールドエンプレスの言葉にロックマンVAVAは低く笑った。 コールドエンプレスはロックマンVAVAに付き合い、街から離れる軌道を追ってくる。 まったくもって甘い奴である。その昔から変わらない甘さが、 「モデルVA、いくぞ」 命取りである。ロックマンVAVAは急に旋回してコールドエンプレスに接近した。 突然の方向転換にコールドエンプレスは反応できない。 ロックマンVAVAは仮面の下で薄く笑い、コールドエンプレスの四肢にガッチリと組み付いた。 虚をついた、たった一度の機会。癖を読まれている以上、この手しかない。 「準備はいいか? モデルVA、フィオ。地獄の炎へ一緒に逝こうぜ」 『……クックック。そういうことか』 ロックマンVAVAの背中からブースターの炎が吹く。 加速し続け、途中でコールドエンプレスが殴りつけるが距離が近すぎて威力がでない。 森と街は近い。インナーに入り、深夜とはいえヒトがロックマンVAVAたちを目撃するが関係なかった。 目的へ一直線だ。ロックマンVAVAが進む先には化石燃料を保存しているタンクがある。 「まさか、あんた――――」 コールドエンプレスが焦るが関係ない。この距離では氷の散弾も使えないのも計算済み。 いや、たとえ使われてもこの手は離さない。コールドエンプレスの身体をタンクの表層に叩きつける。 反動の衝撃がロックマンVAVAの全身にも届き、仮面の下で血反吐が出るが獰猛な笑みが消えない。 「ペン……テ……」 「ここからが地獄だ」 右肩のキャノン砲を向ける。コールドエンプレスのぶつかりひび割れたタンクから漏れている化石燃料ごと狙い撃つ。 光が走り、ロックマンVAVAの視界を炎が占拠した。 真っ白い閃光とともに爆発が轟いて一つの街が炎に飲まれた。 「が……くはっ……」 コールドエンプレスは全身にまとわりつく炎をそのままに、四つん這いになって喘ぐ。 燃え盛る瓦礫の上で呼吸を整えることが、今できる唯一の手段。 震える四肢に活をいれ、膝立ちになった瞬間コールドエンプレスの周囲に影が落ちる。 「よう、元気そうだな」 ロックマンVAVAの低い声を耳にして、振り向いた瞬間鉄パイプが視界を覆う。 コールドエンプレスの腹部に鉄の棒が埋まり、強制的に身体が浮いた。 『クッハッハ……ハハハハハハハッ! ペンテ、やれ!』 「いわれずとも……」 ロックマンVAVAはモデルVAに応えて、中空に浮くコールドエンプレスへ回し蹴りを放った。 コールドエンプレスの頭部の装甲が凹み、地面を数メートルバウンドする。 顔だけを上げてロックマンVAVAを見ると、彼も傷が深い。 装甲にヒビははいり、左肩のミサイルランチャーはとても使える状態ではない。右肩のキャノン砲は半壊し、使えて二、三発という状態である。 鉄仮面の左側が四分の一破損して、ペンテの狂気に満ちた瞳が覗いていた。 「相変わらず……タフだ……ねぇ……」 ロックマンVAVAが僅かに覗いた口の端を持ち上げて両手のバルカンを掃射した。 体表を跳ねる銃弾にコールドエンプレスはうめきながら、してやられたことを実感する。 コールドエンプレスは名が示す通り氷属性のフォルスロイドである。 炎の攻撃には極端に弱い。ゆえに化石燃料の炎はコールドエンプレスに深い傷を負わせた。 とはいえ、街のほとんどを覆うほどの爆発だ。間近にいたロックマンVAVAとて無事ではすまないはずである。 いや、ロックマンVAVAなら……ペンテなら不思議じゃないとコールドエンプレスは回想した。 傷つけば傷つくほど、ペンテの動きは鋭さを増していった。 まるで傷つくことを望むように。なにかを満たしたように。 「どうした!? フィオ、お前の力はそんなものか!?」 「余計なお世話……さねぇ!!」 コールドエンプレスが氷の散弾を作り出し、ロックマンVAVAへ直撃させる。 距離は三メートルもひらいていない。遠くなら周囲の熱で氷が溶けるが、近距離なら威力はそこまで落ちない。 なのに、ロックマンVAVAは当たった場所から血を流しながら盛大に笑った。 「そうだ、それでこそ俺に生きる術を教えた女だ! さあ、残った命で抵抗しろ!!」 一瞬でロックマンVAVAはコールドエンプレスの懐に潜り、固めた拳が鳩尾を襲った。 胃の中身が込み上げてくるが、どうにか飲み込んでコールドエンプレスはその場に踏みとどまった。 両手に氷の刃を作り、ロックマンVAVAを斬り裂く。 パッ、と花火のようにロックマンVAVAの斬り裂いた箇所が血を吹くが、ロックマンVAVAは加速して右つま先を左頬に打ち込む。 視界が衝撃につられて揺れ、全身をバルカン砲が撃ち抜かれた。 マズイ、とコールドエンプレスは距離をとるが、ロックマンVAVAは離さない。 狂おしいほど愛するようにロックマンVAVAが笑う。そうだ、こいつはこういう奴だ。 少しだけ、コールドエンプレスは嬉しくなった。 足を止めてロックマンVAVAの拳を受け止める。炎で弱まった装甲が歪んだ。 『観念したか?』 「モデルVA、アタイとペンテの間に割って入るな。そうさね、結局これが互いに一番好きなことさね。ペンテェェェェ!!」 コールドエンプレスは愛する者を呼ぶように叫び、蹴りを放った。 ロックマンVAVAが応え、互いの右足がぶつかり合う。 力負けし、コールドエンプレスの足から血が流れるが構わない。 そうか、そうだ。このペンテをコールドエンプレスは、フィオという名の女性型レプリロイドは、愛したのだ。 ロックマンVAVAの右拳が右脇腹の装甲を砕き、衝撃に地面を転がる。 コールドエンプレスはすぐに立ち直って、ロックマンVAVAの頬を斬った。 かすっただけだ。ロックマンVAVAの頭突きに打ち据えられ、泥を顔からかぶった。 泥の味が口内に広がるが、それ以上に過ごすロックマンVAVAとの時間の甘美さが胸に満ちる。 泥を吐き捨てながら、氷のショットガンを放った。 ロックマンVAVAは気にせず進み、膝蹴りを腹に叩きつけてきた。 後ろに倒れるコールドエンプレスの首をつかんで、熱せられた壁に押し付けられる。 コールドエンプレスは悲鳴をあげながらも、ロックマンVAVAを何度も何度も殴り続けた。 まるで喜んでいるようだ、と頭の隅で自分の悲鳴を評する。 ロックマンVAVAは仮面の下で微笑み、貫手の形を右手で作った。 「楽しいなぁ、フィオ!」 ペンテにとって最高の褒め言葉を受けて、コールドエンプレスの腹部が貫かれる。 血反吐がロックマンVAVAの鉄仮面を赤く染めて、だらりと両手が垂れた。 ドサ、とやけに倒れた音が大きく響く。ああ、そうか。コールドエンプレスは蜜月が終わったことを知った。 (終わりか……) コールドエンプレスは地面に伏せながら、そう思考した。 レプリロイド用の血に染まった右手を引き抜くロックマンVAVAの顔を見つめて、一つだけ納得がいないことを思い返す。 あの日、人質にとられたのはコールドエンプレスのミスだ。 ペンテならば自分ごと殺すだろうと期待していた。だけど事実は逆。 その事実が、コールドエンプレスの愛したペンテに傷がついていた。 首を動かしロックマンVAVAを見る。そのことだけは確かめたい。 そう思考したコールドエンプレスの耳に、ペンテの名前を呼ぶ声が聞こえた。 コールドエンプレスは無理して身体を跳ね上げ、ペンテの名前が聞こえる場所へ跳躍する。 『チッ、しぶとい!』 モデルVAが吐き捨てるが、コールドエンプレスが早い。 栗色の髪を腰まで伸ばした女性をつかみ、追ってきたロックマンVAVAへ盾として向ける。 「ひっ!」 「お嬢ちゃん、黙りな。さて、ペンテ。……あのときの答えを聞かせてくれないかね?」 『俺を渡すということか? そんなの――――』 「違う、そんなことじゃない。ねぇ、ペンテ?」 「ペンテ……さん……?」 リーネが戸惑ったように視線をロックマンVAVAへと向ける。 対するロックマンVAVAは無言。コールドエンプレスは知りたかった。 なぜ自分が人質になったときは撃たなかったのか。なぜ自分をねじ曲げたのか。 ロックマンVAVAはコールドエンプレスへ視線を向けて、右肩のキャノン砲を光らせた。 熱線がリーネの腹部とコールドエンプレスの胸を貫く。リーネは即死だ。助かりはしない。 「だから家に入っていろと忠告はした」 ロックマンVAVAは興味なさげにつぶやいて、右手をコールドエンプレスの頭へ向けた。 高価な宝石についた傷が埋まったような感覚に包まれ、コールドエンプレスは微笑む。 よかった、これでこそペンテだ。 銃弾がコールドエンプレスの頭部に降りそそぎ、トマトのように砕け散る。 コールドエンプレスの想いも、思考もそこで途絶えた。 ロックマンVAVAは標的が沈黙したことを悟り、踵を返す。 低く笑って満足であることを示した。 あの日、コールドエンプレスを……フィオを撃たず、今回リーネを撃った理由は単純だ。 フィオは生きていれば戦う相手として申し分ない。 リーネは生きていたところで、倒すにあたいすることは一生ない。 ただ、それだけ。 事実フィオはフォルスロイドへと改造を施し、裏切り者となったロックマンVAVAと戦った。 リーネにはそれを望むべくもない。 血で血を洗う死闘。 これこそがロックマンVAVAを満足させ、気持ちを昂らせた。 『フン、ペンテ。この調子でモデルXたちを殺すぞ』 ロックマンVAVAはモデルVAに適当に返事をする。 モデルVAと、ロックマンVAVAことペンテの目的は似ているようで違う。 モデルVAはモデルXたちに“勝ちたい”のだ。 だがペンテは一人でどこまでも強くなれる自分と死闘を繰り広げる“過程を味わい続けたい”だけ。 自分と同じ理由で強くあるフィオは倒せた。 ならば、自分とは真逆の理由でどこまでも強くなれるエールと天道と死闘を演じることこそ、今のペンテの最大の楽しみだ。 モデルVAとは違う。 ただ戦うことで乾きが癒されるペンテは、地獄の道を修羅となって歩み続けた。 死が確定したその道。ペンテは恐れはしない。 行き着く先には興味ない。ただその過程を実感できれば、それでいいのだから。 To be continued……
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とあるマンションの一室。 <上条>という表札がかかった部屋の一室で禁書(インデックス)は悪夢にうなされていた。 「・・・とうま・・・とうま・・・。」 「とうま!」 混沌とした暗黒の世界。 その中では、禁書を世話している上条 当麻が、ボロボロになりながらも何者かと戦っていた。 自身の右手に潜む能力<幻想殺し(イマジンブレイカ―)>を武器にその何者に攻撃を仕掛けようとする上条であったが、 敵の持つ超高速移動に対応出来ず、そのままサンドバックと化していた。 「とうま、逃げるんだよ!」 叫ぶ禁書。 だが、その言葉は上条に届くことはなく、彼はついに力尽きてしまった。 傷だらけになった状態で倒れこむ上条のもとへ禁書が駆け付ける。 「とうま!お願い・・・しっかりして!!」 禁書は一生懸命に呼びかけるが、上条からの反応は一切無かった。 そんな禁書のもとへ、上条が相手をしていた影がゆっくりと現れた。 相手を見る禁書。 彼女の眼には、大きな刀のような武器を持つ、青い装甲に包まれた何者かが映りこむ。 そして、何者かは言い放った。 「絶望が・・・お前のゴールだ。」 自身の武器を振りかざす何者か。 その武器は禁書へ、そして当麻へと振り下ろされるのであった。 「・・・ぅわぁあああああっ!!」 勢いよく飛び起きる禁書。 彼女が着ていた、カエルの着ぐるみパジャマは尋常じゃない汗でぐっしょりとなっていた。 「・・・!とうま!とうま!!」 突然、彼女はベッドから飛び降りると、床で寝袋を敷いて寝ている上条へ大声で叫ぶ。 「とうま!とうま!!とーおーまーぁっ!!!」 「・・・おい・・・なんだよ・・・禁書・・・。」 「とうま!生きてるんだね?!」 「・・・まだ5時じゃねぇか・・・明日は・・・というか今日は土曜なんだから・・・遅くまで寝かせてくれよ・・・。」 「生きてるよね?生きてるよね?!」 「・・・お前の所業で死にそうだよ・・・。」 そう言って、上条は再び寝てしまった。 「ボディガード?」 「そうだよ。今日一日、私がとうまのボディガードになってあげるんだよ! だから、感謝するんだよ!!」 上条の言葉に禁書が答える。 一方の上条は大きめのフライパンを振り回しながら、ご飯を炒めていた。 「・・・ったく、3時間前に禁書の夢で叩き起こされるわ、 今度は『ボディガードになりたい』と言いだすわ、 終いには『感謝しろ』と言いだすわ・・・どうしたんだよ、いったい。」 「どうもこうも無いんだよ!」 上条の後ろでプンスカ怒る禁書。 それに対し、上条はその様子に目を向けること無く山盛りのドライカレーを完成させると、 一杯を自分の皿へ、残りのドライカレーをフライパンごと禁書に出すのであった。 「とりあえず、これ食って落ち着・・・って、もう食い始めてるか。」 無言で食べ始めた禁書を後目に、上条は自分の分の朝食をさっさと済ませると、 簡単な身支度をし始めるのであった。 「・・・あれ?とうま、どこかに出かけるの?」 「ああ、ビリビリと映画の約束しちまったからな。」 上条の様子にようやく気付いた禁書が、靴を履こうとしている彼に言う。 「映画?」 「ああ。えぇっと・・・『ジェシカの彷徨と恍惚・傷だらけの乙女は何故西へ向かったのか:漂流編』 ・・・って随分とタイトルの長い映画だこと。」 ポケットに突っ込んであった前売り券を見ながら上条が言う。 「・・・あ、ちょっと待って!」 突然、声をあげる禁書。 その数秒後、彼のもとへ不思議な格好をした禁書が現れた。 「・・・おい。なんだよ、鍋なんか頭に被って・・・。」 「だって、今日はとうまのボディガードなんだよ!だから多少は武装しないと!」 そう言って、右手のオタマを振りかざす。 「お前な・・・そんなフザケた格好で連れて行けるワケ無いだろ。」 「心配ご無用なんだよ!だから、安心するんだよ!!」 自信満々に言う禁書。 それに対し、上条は何かを考え付いたのか、禁書の頭をさするのであった。 「・・・じゃあ、俺の提示した条件を守ったら、ボディガードとして連れてってやる。」 「ホント?!その条件って何、ナニ?!」 「・・・服を着ろ。」 「・・・え?」 そう言って、自身の格好を見る禁書。 先ほどまで彼女の体は修道服に包まれていた・・・はずだったが、 先ほど上条が禁書の頭を撫でた際に彼の持つ<幻想殺し>が発動、 それによって彼女の服はバラバラの布の塊と化したのであった。 「な・・・な・・・な・・・とおまぁっ?!?!」 玄関で裸体を晒しながら、大声をあげる禁書。 だが、上条は禁書が取り乱しているうちにさっさと外へ出掛けてしまったのであった。 OP:http //www.youtube.com/watch?v=MYbQpDocz6A feature=related 「・・・それにしてもビリビリの奴、随分と待たせるな。」 学園都市と呼ばれる巨大空間、その中の一画にある映画館の前で上条はひとり立っていた。 「どうせ、またヤンキーかなんかに絡まれて、そいつらをボコって遅刻・・・ってのが関の山だろうな。 別にやっても文句は無いが、さすがに時間は守って欲しいよ・・・ったく。」 愚痴りつつ、映画館のネオンを何の気無しに見る。 「それにしても・・・。」 上条はふと思い返していた。 それは今朝、朝食の製作にかかる前の出来事だった。 「『青の通り魔』が俺を襲っただって?」 今朝見た悪夢の内容を説明する禁書に対し、上条が聞く。 「そうなんだよ、とうま!夢の中に『青の通り魔』が出たんだよ!それに・・・とうまが・・・。」 禁書は悲しそうな顔をしてうつむく。 『青の通り魔』・・・。 それは、数週間前から学園都市に出没するようになったという、 学園都市に住む人々の命を狙って暗躍する謎の犯罪者の通称であった。 その存在はまったくの謎に包まれており、唯一分かっているのは風のごとく被害者の前に現われ、 そして被害者をサンドバックのように何十発も殴って殺害するという残忍かつ奇怪な犯行手段をとるということであった。 これまでに20人もの屈強な男が被害に遭っているのだが、唯一ひとりの男性が奇跡的に生存したことがあった。 のちに、その被害者は搬送先の病院で息を引き取ったのだが、死ぬ前に彼はこう言ったという。 「青い・・・悪魔だ・・・。」 「『青い通り魔』・・・か。それにしても、禁書は随分と物騒な夢を見てくれたもんだよ。」 つぶやく上条。 その時、彼の頭に禁書の言葉がフラッシュバックする。 『それに・・・とうまが・・・。』 禁書の悲しげな言葉、そして寂しげな顔。 今思えば、夢だったとは言え、禁書は精いっぱいに自分のことを心配していた。 なのに、自分はそんな気持ちを理解せず、それどころか邪魔扱いしてしまった。 「・・・禁書に悪いことしっちまったな。」 ポツリと言う上条。 「・・・しょうがない。映画が終わったらアイツにケーキでも・・・。」 上条が言いかけたその時だった。 遠くの方から聞こえてくる爆発のような音。 その直後、映画館のネオンが・・・いや、ネオン以外にも電灯や自動販売機といった機械が次々とストップするのであった。 「・・・まさか!!」 爆発音の聞こえた方向の空を見る上条。 目線の先には、彼の予想通り、地面から雷のような雷撃が無数に発生していた。 「ビリビリの奴、また何かしでかしやがったな!」 そう叫ぶと、上条は雷撃の方向へ全速力で走りだした。 一方、雷撃の中心地にふたりの姿があった。 そのうちのひとり、青い装甲に包まれた男が言う。 「貴様、いつまで抵抗するつもりだ!!」 「そっちこそ・・・女の子だからってなめるんじゃないわよ!」 一方、もうひとりの存在・・・学校の制服を身にまとった少女も負けじと答える。 「こういうセリフは本来、黒子が言うべきだけど・・・『ジャッジメントですの』だ!覚悟しなさい、『青の通り魔』!!」 「『青の通り魔』だと?勘違いも甚だにしろ、『ドーパント』め!!」 そう言うと、青い装甲の男は右手に持つ大きな剣にUSBメモリ状の何かを挿入し、剣の引き金を引いた。 ENGINE!!ELECTRIC! 響き渡る音声。 すると、青い装甲の男は刀をライフルのように構え、彼女に向かって数発の光弾を発射した。 「おっと!」 飛んでくる光弾に対し、回転して避ける女性。 そして立ち上がり、スカートのホコリを払いながら、ポケットから数枚のコインを取り出した。 「それがあなたの能力?」 「ん・・・?」 「教えてあげる、光線技っていうのはね・・・こうするんだよっ!!」 少女の指から弾き飛ばされる数枚のコイン。 と、次の瞬間、その軌道を追うかのように、 彼女の持つ能力<超電磁砲(レールガン)>によって発生した大量の電気エネルギーが指から放出された。 青い装甲の男を襲う光線。 そのうちの一本は男が持つ刀を吹き飛ばすのであった。 「なんてパワーだ!くそっ・・・人間態にやるのは気が引けるが・・・仕方がない!!」 そう言って、男は腰にある『バイクのハンドルを模したベルト』のクラッチレバーに手をかけた。 TRIAL!MAXIMUM DRIVE!! 音声が響き渡ると同時に、体を青白い炎で包み込む男。 そして、ベルトのアクセルを思いっきり引くと、空高く跳び上がり、キックの体勢に入った。 「甘い!」 一方の少女も、上空の男に向かって再び光線を放つ。 男を捕らえる光線・・・だったが、男の足先から発せられる多量のエネルギーによって光線は無効化されてしまうのであった。 「何っ?!」 驚く少女。 しかし、男はお構いなしに少女との距離をどんどん縮め、ついには彼女を捕らえた。 目前まで迫るキックに対し、思わず腕で顔を覆う少女。 そして目をつぶり、無駄な抵抗とは分かっていながらも、彼女は全身に力を込め、キックからのダメージを抑えようとする。 だが、いつまで経っても、彼女へキックのダメージが来ることは無かった。 この状況を不思議に思ったのか、ゆっくりと目を開ける少女。 その目線の先には、彼女の前に立ち、男の放つキックを右手のみで阻止する者の姿があった。 「・・・上条 当麻!!」 一方の男も叫ぶ。 「・・・!お前、上条じゃないか!!」 着地する男。 その直後、上条は右腕を押さえながら、膝をついてしまった。 少女が上条のもとへ行く。 一方の男もベルトを外し人間の姿に戻ると、彼女同様に上条のもとへ駆けつけた。 「上条!・・・腕が折れているのか?」 「しっかりして!!」 「・・・おい、女!この近くに病院はあるか?!」 「・・・え・・・病院?」 「早く答えろ!」 「・・・え・・・あ・・・ここから5kmほど直進した所です。」 男の表情に対し、思わず敬語で話す少女。 「近くか・・・よし!」 そう言うと、男は再びベルトを腰に付け、赤いUSBメモリ状の物=ガイアメモリを構えた。 「変っ・・・身っ!!」 ACCEL!! ガイアウィスパーとともに発せられた赤い装甲が男を包み込む。 そして、男は赤き装甲の戦士に変身すると、上条を背負い、なんと自らの体をバイクに変形させるのであった。 エンジンを噴かせ、発進体勢に入る男。 この状況にポカンとする少女であったが、突然ハッとし叫ぶ。 「ちょっと、あんた何者なのよ!私に襲いかかるわ、コイツを助けるわ、青くなるわ、赤くなるわ・・・。」 「俺に質問するな。」 「・・・へっ?」 「だが、答えてやっても構わない。答えが聞きたかったら、俺についてくるんだ。」 そう言って、男は猛スピードでその場を後にした。 「え・・・あ・・・ちょっと・・・。」 呆然とする少女。 その時、何者かが彼女の肩をトントンと叩く。 「・・・ん?うおぅっ?!」 驚く少女。 その先には、戦車のような形をしたロボット=ガンナーAがいた。 「な・・・何なのよ、あんた!!」 叫ぶ少女。 それに対し、ガンナーAはマニピュレーターを動かし、彼女と自身の背中を交互に指していた。 「・・・乗れってこと?」 彼女の答えに対し、嬉しそうに首を縦に振るガンナーA。 「・・・まあ・・・とりあえず。」 そう言って、ガンナーAの背面にある、足の掛けられそうな場所に足を置く少女。 そして、ガンナーAも彼女の搭乗を確認すると、先ほどの男を追うかのように猛スピートで発進するのであった。
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「おばあちゃんがいっていた。ちゃぶ台をひっくり返していいのは、飯がマズかったときだけだとな。 ちょっと七年前までひっくり返してくる」 男はそういい、カブト虫を模した強化装甲をまとって時を遡った。 人々を滅ぼす悪魔の隕石と共に、過去へとたどり着いた男は歴史を変えたのだ。 妹と、心を許した仲間に平穏な世界を与えるために。それはいかなる理由をもっても行うべき行為ではないと知りながら。 世界は歴史の変更を嫌う。 男が行った行為は世界の理を破り、時空の復元力をもってしても修復が間に合わなかった。 ゆえに男は世界に否定される。肉体も、存在も、魂も。 されど男は覚悟をしていた。彼の所業は永遠に呪われてしかるべきのものである。 だからこそまだ消えてはならない。もう少しだけ、世界に抗わなければならない。 男はすべての始まりの場所へとたどり着き、自らのベルトを少年へと向ける。 「ベルトをつかえ」 その少年が妹を守る姿を見届け、男は満足気に微笑んだ。 これで思い残すことはない。 たとえいかなる罰を受けようと、たとえいかなる苦しみを与えられようと、この流れを作るために男は命を投げ出した。 彼は自分を世界の中心だという。 だからこそ、自分が中心であるベキの世界を守るのは当然の選択であった。 男は黄金のタキオン粒子となり、瓦礫に埋もれた少年と少女から姿を消す。 後は、妹はこの世界の自分に託せばいい。 歴史を変え、世界に嫌われた愚か者。 天の道を往き、総てを司る男。 天道総司。 彼は死よりも辛い、時間に溶ける間際まで微笑んでいた。 □ 「はいはい! 依頼とあらばどんなものでも どこにでも! こちら「運び屋」ジルウェ・エクスプレスでございます! 」 黒い髪を肩まで伸ばした、活発そうな少女が通信機に向かって警戒に応えていた。 青い服装に白いパンツルック、全身に黒いタイツをつけているのか、腕や足を黒い布が覆っていた。 青いジャケットを羽織り、青いバイクに寄り添っている。 彼女の名はエール。この国の英雄であり、人間の少女であった。 「はい、はい……それでは向かわせてもらいまーす」 彼女はそういって通信を切る。彼女が行っている運び屋には、彼女だけでなくジルウェという青年がいたのだ。 冷静で優しく、しかし厳しいところは厳しい青年であったのだが、一年前ある事件で彼女を庇って亡くなってしまったのだ。 『エール、順調だね。けどまた危険な仕事を受けたの?』 この岡には彼女一人しかいない。なのに、声がかかってくる。 エールは慌てず、声の主を“取り出した”。 「大丈夫、今回は安全な常連客よ。それに、なにかあったら力を貸してくれるでしょう?」 『だからといって、この前みたいにイレギュラー相手に油断されては困る』 また別の声があがり、エールはうっ、と気まずそうにする。 光り輝く手のひら大の青と赤の金属デバイスが現れて彼女へと話しかけていたのだ。 彼らはライブメタルモデルXとモデルZという英雄の力を宿した生きたデバイスであった。 『モデルZ、彼女はそのことに対して反省をしているよ。エール、今度の依頼主は人間かい?』 「いいえ、レプリロイドよ。どこかでアタシの噂を聞きつけたみたい」 エールはそういってモデルXへと微笑み、青いバイクに跨った。 ライブメタルモデルXとモデルZは、向こう見ずの少女に微笑み、あるいはため息をついて彼女の元へと戻った。 レプリロイド……それは人間と共に道を歩む機械生命体である。 数百年前、人間とレプリロイドは相違の思想の違いにより対立して、戦争が発生した。 長年にわたって戦争は続いたが、首謀者は倒されて人間とレプリロイドは共に道を歩むことを決意をする。 人間とレプリロイドは真の平和を求めて、人間に『機械の体というレプリロイドと同じ力』を、レプリロイドに『寿命という人間と同じ命の重さ』を与えられたのだった。 戦争の傷跡も癒え、人とレプリロイドが共に手を取り合って生きていた。 しかし、一年前『セルパンカンパニー』によって人々が争いの渦へと巻き込まれた。 長年人々の英雄と語り継がれていた『セルパンカンパニー』は狂ったレプリロイド・イレギュラーを裏から操って自作自演の茶番を行っていたのだ。 それはすべて、ライブメタルモデルVを覚醒するため。 支配するロックマンへと変身したセルパンをとめるものはいないかと思われた。 それをかぎつけたガーディアン、及びモデルXの適合者エールによってセルパンの野望は阻止されたのだった。 それから一年たった今、少女は日常を取り戻し、運び屋として日々を過ごしていたのだ。 「うーん、いい風……」 エールは気持ちよさそうに呟き、空を見る。彼女が守った青空だ。 十一年前のイレギュラー襲撃によって母を失った彼女の、初めて守れた世界。 だからこそ彼女は英雄の賞賛足りえた。 「それじゃ、いこうか。モデルX、モデルZ」 いまや仕事の相棒となったライブメタルに語りかけ、彼女はアクセルを回した。 エールは青いバイクを走らせ、運び屋として依頼を果たそうとする。 それが彼女を守ってくれた、ジルウェとの絆だったからだ。 「アレがお前の標的……でいいのか?」 『ククク、そうだ。あの気配……忘れてやらない……』 「俺にはただの小娘にしか見えないがな」 そういって男は双眼鏡を降ろした。彼以外には人影を発見することはない。 確かに男以外の声が、人影のないビルの上で響く。まるで丘のエールとライブメタルたちのように。 「まあ、俺は暴れられればそれでいい……」 『話が早い。いくぞ……』 男は取り出した金属デバイス……ライブメタルを手に口元を歪める。 笑っているようにも見える狂気の表情のまま、彼は呟いた。 「ロックオン……」 風が吹き雲が太陽を覆う。 彼女が守った青空を、乱すものが現れたことを示すように。
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《クロス×オーバー編(へん)/Crossover》 どんな者にだって、忘れられない瞬間がある 永遠の如く残響する瞬間――――思い出が、ある 一度過ぎた時間は取り戻せず、変わり果てた空間も決して元に戻ることはない だからいつだって、一方通行の現実に苛まれる日々が彼らの心を蝕んでいく もしもすべてが変えられるなら、その願いが叶うのなら…たったひとつだけ、取り戻したいものがある 時空を越えて、今 繋がる物語――――― 紡がれる新時代で すべてがひとつになる――――― ~主題歌~ ♪オープンング♪ BUMP OF CHICKEN『カルマ』 歌詞:こちら ♪エンディング♪ ダイアナガーネット『Spinning World』 歌詞はこちら ~物語の概要~ 本編は現在と過去の二構成からなる物語です。 それぞれに登場人物と話の内容が異なります。 ~登場人物~ クロス×オーバー編 登場人物を参照 ~過去ログ~ 現在 第一話「英雄回帰」 第二話「覚悟」 第三話「怪鳥と不死鳥」 第四話「影の主」 第五話「名を奪う者」 過去 第一話「最強にして最凶のZ」 第二話「動き出した脅威」 第三話「英雄を継ぎし者達」 ~用語~ カコログ 「死霊の山」として伝説になった聖地。 表向きには宝石が散りばめられた宝の山としての外観をしているが(しかしその宝石は一度抜き取ると枯渇し消滅してしまう)、 山の何処かに太古の洞窟が存在し、その奥には過去へ回帰することのできる扉がある。 扉の開放には『鍵』が必要とされているが… *注意事項~ 1.このドラマは≪現在編≫と≪過去編≫の2部構成になっています。 2.記載された過去ログは、ドラマの進行に影響をきたさないために各ユーザーの許可なく修正されることがあります。 3.このドラマは誰でも自由参加できます(上記「2」にもあるように、過去ログにキャラが記載されないこともあります)。 4.今後注意事項が増える、変更する可能性があります。 関連ページ 全てを振り切るクリアマインド 全てを振り切るラストバレット 歴史 其の六へ戻る コメント とやかく語るつもりはないっすけど、主題歌であるBUMP OF CHICKENの『カルマ』は クロス×オーバー編の物語に相応しいために引用しました。 知らない人はいないほどに有名すぎる曲ですが、今一度歌詞を確認してみてはいかがでしょうか? -- (黒い羊) 2015-06-09 23 27 10 名前 コメント すべてのコメントを見る
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◇ 「……」 赤い液体に満たされた容器の中に、人間といえるかどうかすらわからぬ、ヒトガタが浮かんでいる。 ―――生命維持は機械に頼り。 ―――知能さえも機械に預け。 世界最高峰の魔術師と言われたものは、今や科学技術の塊と化している。 そんな、男にも女にも、老人にも成人にも囚人にも聖人にも見えるものは、一言、 「この野郎…………………………………!!!!」 怒りを込めて呟く。 目の前に、一つの天使【エイワス】が現出する。 「おや、ここしばらくで見ない感情の現れだね」 器の小ささが知れるぞ、と呟く。 「別に望んで感情を排しているわけではないのでね。必要とあらば、排出する他ない」 と、アレイスター。続けざまに、 「……見逃せない誤差だ。一方通行【アクセラレータ】は魔術を会得。浜面仕上は『素養格付【パラメータリスト】』を手に入れる。何より『幻想殺し【イマジンブレイカー】』が―――」 普段にはない饒舌ぶりが、彼の怒りを露わにしている。 ―――。 かっ、かっ、かっ。 足音。 窓もドアもないビルの、中。 空間移動能力者【テレポーター】でもなければ入れないビルの、中。 ...... ただの魔術師は、アレイスターの前へと歩む。 「……、ッ!」 驚いたのは、エイワス。 青ざめたプラチナのような翼をはためかせ、散る。 「残念だが失礼する。その男は何かと”苦手”でね」 ゴガァア!!と、炸裂音が響く。 「不倶、」 エイワスの去り際に放った一撃も、一言の結界に静止(とど)められる。 「君の作品は不出来だな」 「『相克スル螺旋』程ではないがな」 見えない緊張の糸。 互いが互いを、”敵”としている。 「……何の用事だ」 「言うまでもあるまい」 「上条当麻の失踪は君の仕業か」 ............ 「わかってると思うが、個人としてやったことではない。興味ある対象が望んだから、そうしたまでだ」 ―――トン 魔術師【侵入者】の肩に、手が置かれる。 ビーカーに浮かぶ者の、ではない。 ―――歴代最高峰の魔術師、アレイスター=クロウリ―の手だ。 「次元をすでに凌駕するか」 思わずつぶやく侵入者―――荒耶。 二人いるとか、そういう次元ではないのだ。 そこにも、居る。 容器の中にも、目の前にも。 どこにもかしこにも見渡しても――――ッ! 「―――邪魔をするな」 男にも女にも、囚人にも、聖人にも子供にも大人にも聞こえる声で―――!! 「金剛、」 バキィン! 金属がぶつかり合う音とともに、戦闘が開始される。 「準備運動は必要ないのか?」 「君程度の相手なら必要ないさ」 衝撃の杖は、動きを止められていた。 「蛇蝎、」 上方から覆い被さるように、杖を突きだして襲いかかったアレイスターだったが、魔術師は動きもせず、言葉を紡ぐだけでそれを受け止める。 魔術師の右手が、アレイスターの眼前へと迫る。 しかし、当たらない。 『静止』していたアレイスターは、もう居ない。 次に魔術師を襲うのは、後方、死角からの一撃―――ッ! 「戴天、」 左手で杖は握りとられる。 アレイスターは焦りもせず、呟く。 「消飛べ」 ドン! 短い炸裂音とともに、杖を握られていた位置が爆散する。 しかし、爆風や、熱、音までもが大気の流動と同じく『静止』していた。 この程度の攻撃では、魔術師に届きすらしない。 判断したのか、アレイスターは 「―――神よ、なぜ私を見捨てたのですか」 紅い光線が迸り、魔術師の背後を狙う。 やはり、アレイスターは『空間』や『存在』という次元、概念を凌駕しているようだ。 「ぐっ……」 左手を突き出して、魔術師は応戦し、 「、頂経」 死なない左手は、かつて炎の魔術師を苦しめた一撃をものともしない。 しかし、魔術師は攻撃に転じることができない。 そもそも、視認しているアレイスターに攻撃を当てたところでダメージが入るかどうかもわからない。 「……なぜ魔術を使う」 魔術師は、素直に疑問に思ったことを口にする。 アレイスターは、魔術を捨てた者。そして世界の敵となったもの。 その男がいまだ魔術に頼るというのは、いささか疑問である。 ........ 「私の作品の術式だ。お披露目しておこうと思ってね」 「―――ッ!」 第一の結界が破られる。 「(竜王の殺息【ドラゴンブレス】…!?)」 あらゆるものを『静止』させる結界だが、質・破壊力がケタ違いの竜王の殺息の前ではどんどんジリ貧になる。 「私こそ疑問だ。『抑止力』を相手取る君が、なぜ私に立ち向かう?それでは君が『集合的無意識』に従っているようなものだ」 ............... 「逆だ。今後の展開次第では、お前こそが私の抑止力になりうる。アレイスター」 「―――『ペクスヂャルヴァの深紅石』」 会話こそ交わしているものの、戦闘中である。 なにかが来るとすぐに察知した魔術師は、後方へ飛び退こうと足を前に突き出して地面を蹴り―――。 「ぐっ……ぐがぁッ!」 直後、魔術師の足先から足首、脛、膝、へと、強烈な痛みが這い上がる。 まるで関節を強引にずらすような痛み。 思わず膝をつく。 「―――終わりだ」 アレイスターの一言。 そして、魔術師の全身の骨は砕け散――― ..... るはずだった。 「……右手……だと……!」 魔術師は右手で足を叩きつけていた。 這い上がる痛みが全身へ渡る前に―――ッ! .... 「あの妖怪とは事前に密約を交わしている」 例えばこの右手のように―――と、魔術師。 次の瞬間、爆発的な脚力でアレイスターの眼前へと迫るッ! 「フィアンマと同じ手か。右手を取り込んだ程度でいい気になるな」 迎え撃つアレイスターはねじれた杖を魔術師へ向け、 「 」 聞こえぬ声でなにかを言う。 そして、 ―――トン あまりにも軽い音。 「取り込んだだけでは、大した力にはならぬか。やはり、あの少年が身に付けてこその右手【イマジンブレイカー】」 魔術師の右腕は、肩口から綺麗さっぱり切断されていた。 流血はなく、切断面は空洞であるかのように真黒だ。 「……やはり、お前の領域内【テリトリー】では分が悪いか」 ここは素直にひかせてもらう、と魔術師。 アレイスターは止めない。まるで、いつでも相手にできるとでも言うかのように。 「君よりも優先して相手取るべきなのは――――――」 ―――あの妖怪だからな―――。
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こばやし さなえ カバー曲一覧 曲名 収録・音源 他ボーカリスト Go Tight! 創聖のアクエリオン かかずゆみ,寺島拓篤 JUST COMMUNICATION BPM151Tactix 創聖のアクエリオン 創聖のアクエリオン かかずゆみ,寺島拓篤 創聖のアクエリオン BPM151Tactix 突撃ラブハート マクロスF ドラマCD 娘ドラ◎ドラ3 小西克幸,三宅健太 突撃ラブハート マクロス30周年記念 超時空デュエット集 娘コラ 小西克幸 流星ボーイ イナズマイレブンシリーズ5周年記念「本当にありがとう」 折笠富美子,佐々木日菜子
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アクエリア タイプ1:みず にんぎょポケモン たかさ おもさ ずかん およぐすがたは とてもうつくしい じゆうきままでいうことをきかないこともゆうめい 進化経路 ヒッキー⇒リオネ⇒アクエリア